有本 博英 先生 イースマイル矯正歯科(大阪)
講演・研修イベント
第4回 日本アライナー矯正歯科研究会 (2017)
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加速アライナー矯正治療におけるレーシングチーム
Racing Team for Accelerated Aligner Treatment - アライナーの矯正治療は100%患者に依存すると言われるが、加速アライナー矯正治療を成功させるためにはより緻密で質の高い患者の理解と協力が必要となる。そのためには医療者サイドと患者とのより緊密なコミュニケーションとサポートで、ゴールに向かって共に進むチームを作り上げなければならない。演者はこれまでに、加速治療について患者をレーシングカーのドライバーにたとえ、レースカーセオリーとして説明して来たが、レースはドライバーとマシンだけで走るものではなく、エンジニアやメカニックも含めたチームで戦うものである。
今回は患者がより確実に加速アライナー治療を進めていけるように、医療者サイドがどのような準備をし、コミュニケーションを取るべきかについてより細かく論じる。具体的には、加速装置を渡すまでにすべきこと、加速治療のためのステージングとアタッチメントデザイン、オフトラックを起こさせないためのコミュニケーションなど、経験上知り得たことをベースにレースカーセオリーをアップデートする。
第3回 日本アライナー矯正歯科研究会
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素人が運転するレーシングカー - 加速アライナー矯正の3つの工夫
Racing car that drives by amateur - 3 Clinical Tips for Accelerated Aligner Orthodontics - 加速アライナー矯正治療はいわば素人が運転するレーシングカーのようなものである。これを成功させるための3つの工夫について発表する。
見通しの良い道を用意する。ステージングにおいて、矯正治療における複雑な歯の移動をシンプルな動きに分けることで、高速運転でも道を外れることが少なくなる。
しっかりとしたシートベルトをはめる。高速移動には大きなGがかかる。アライナー治療におけるシートベルトはアタッチメントである。高速移動に有効なアタッチメント設置について考察する。
コースを外させない。アライナーのアンフィットが起こると、加速矯正治療では急速にコースを外れることにつながる。しっかりとフィットを維持する方法とフィットを維持しながらアライナーを交換するタイミングについてどのように指導するかを述べる。
以上3つの工夫に基づいた症例について供覧する。
第2回 日本アライナー矯正歯科研究会
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【時間資本主義時代に矯正歯科の価値を加速する】
Accerelate Orthodontic Value in the Rise of Time Capitalism - 人類にとって価値あるものは,歴史的・社会的状況に応じて変遷してきた.現代において,特にスマートフォンが発明されてからは,あらゆる『隙間時間』で様々なことができるようになった.インターネットにアクセスし,本を読み,音楽を聴き,買い物をすることができる.一方,ある程度まとまった『塊の時間』を持つということが難しくなってきている.つまり,現代人にとって『時間』はかつてなく重要な価値を持つようになったのである.時間はお金以上のものであり,現代が,時間資本主義と言われる所以である.そのような時代において,時間価値は『時間を短縮する価値』ばかりでなく『時間を充実させる価値』によっても評価される(松岡(2014)).矯正治療においてこのような時間価値を高めるためには,効率性と快適性を高める必要がある.そういう観点で見た場合,アライナー矯正は,従来のマルチブラケット治療と比較して有利である.さらに非侵襲性の加速装置を併用すると,時間価値をより高めることができる.現在市場には2種類の非侵襲性の加速装置がある.一つはアクセラデント®で振動を使うものであり,もう一つはオルソパルス™でフォトバイオモジュレーションを使う.これらの装置を併用することでアライナーの交換は2−3倍の頻度でできるようになり,歯の移動時の痛みも軽減される.本プレゼンテーションでは,インビザライン治療にアクセラデントやオルソパルスを併用し,矯正治療の価値を高めることができた症例について供覧する.
参考文献:時間資本主義の到来. 松岡 真宏 草思社 2014
Valuable things for human being has been changed through historical and social situation. Nowadays, especially after smartphone has been invented, we could do so many things in a "small pocket of time". We can access internet, read a book, listen to music, do shopping etc. On the other hand, it becomes very difficult to get a "large uninterrupted time". Consequently, "time" has a very important value than ever before. Time is more than money and now is a time capitalism era. In such a days, time value is not only just "saving time value" but also "creative time value". In orthodontic treatment, we should focus effectiveness and comfortability to enhance this time value.
Aligner orthodontic treatment has several advantage when compare to conventional multi-bracket system. In addition, by combination with non-invasive accelerating device, that value can be increased more.
Two types of non-invasive accelerating device are available in the market. One is Acceledent® which uses vibration, and the other is
OrthoPulse™ which uses photobiomodulation. By using these device, patient can change aligners 2 or 3 times faster, reducing pain during
tooth movement. In this presentation, I will share the experience of some cases treated by invisalign® with Acceledent® and OrthoPulse™
that could accelerate the value of orthodontic treatment.
Reference: The rise of time capitalism. Matsuoka M. Soshi-sya 2014
第1回 日本アライナー矯正歯科研究会
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【マルチの限界とアライナーの可能性】
Unfitness of Multi Bracket and Fitness of Aligner - アライナーは可撤式の装置であるため、精密な歯のコントロールには向かないと思われてきた。しかし近年の症例報告などを見ると、特にアラインテクノロジー社のインビザラインはかなり複雑で本格的な矯正治療でも対応できることが示されている。これは、3D技術やコンピューターの進化、アライナーの素材の進化、アタッチメントの工夫、歯の移動データの蓄積などによるところが大きいと思われる。
一方、マルチブラケットは現在最も多く用いられ、確実な歯のコントロールができる矯正装置である。しかしながら、インビザラインにはマルチブラケットにない特徴がある。それは;
・可撤式であること。
・咬合面を全て覆うこと。
・動かす歯とその量を、コンピューターでコントロールできること。
などであり、これらの特徴を用いれば、マルチブラケットでは対応が難しいケースでもインビザラインならば対応できそうな症例が思い当たる。
本発表ではマルチブラケットシステムでなかなかうまくいかなかった症例を示し、これに対するアライナー治療の可能性を考察する。
来歴
1966年 | 和歌山生 |
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1991年 | 大阪歯科大学卒 |
1995年 | 大阪歯科大学大学院卒(歯科矯正学) |
1996年 | 大阪歯科大学助手(歯科矯正学講座) |
2001年 | イースマイル矯正歯科開業、現在に至る。 |
近畿で最初の矯正歯科専門医院を開設した父の元で小臼歯4本抜歯を伴う矯正治療を受ける。1995年、非抜歯治療98.5%という数字が信じがたく、フロリダのグリーンフィールドのオフィスに単身渡米。リップバンパー1本でまるで別人のような歯列に変化していることに衝撃を受ける。1996年よりグリーンフィールドコースインストラクター。2002年アメリカ矯正歯科医会フィラデルフィア大会招待講演、テーブルクリニックアワード受賞(日本非抜歯矯正研究会として)。2007年第1回イタリア非抜歯矯正学会招待講演。イタリア、韓国、インドなどでセミナーを開催。日本非抜歯矯正研究会マスター会員。米国アングルソサエティレギュラーメンバー。『非抜歯矯正治療- Molar Oriented Orthodonticsの実際(医歯薬出版 2011)』『一歩抜け出す未来志向の歯科医ライフ(医歯薬出版 2014)』共著者
(2014年12月日本アライナー矯正歯科研究会)
イースマイル矯正歯科(http://www.esmile.jp)