イベントレポート

2019年02月14日第5回 日本アライナー矯正歯科研究会 (2018)

第5回日本アライナー矯正歯科研究会報告

「Digital Revolution」テーマに成功裏に開催

2018年12月5日(水)、6日(木)の2日間にわたり、第5回日本アライナー矯正歯科研究会が東京大学伊藤国際学術研究センターにて開催されました。2014年に第1回を開催し今年で5回目となるこの研究会では、2,000症例~5,000症例のインビザライン治療経験を持ち、世界中でご講演の経験がある10名の先生方を海外よりお呼びし、日本からも5名の先生方にそれぞれのアライナー矯正治療に関するご講演をしていただきました。

盛りだくさんのプログラムでしたが、国内外合わせて約250名の方に参加していただきました。第1回から累計すると1,200名以上の先生方にご参加していただいております。海外からはタイ、台湾、香港、韓国、カナダ、フランス、ブラジルなどから18カ国もの海外の先生方からご参加いただき、インターナショナルかつ、アライナー矯正治療への関心の高さが伺える研究会となりました。

はじめに、大会長の尾島賢治先生より、「2018年第5回大会はアライナー矯正治療の『 アライナー矯正治療の可能性』『見えない矯正装置』 という概念だけではなく、“Digital Revolution” をテーマに、患者様に対する最善の治療を行うにはどのようにデジタル技術を活用していくべきか」 という内容のOpeningで始まりました。

トップバッターはDr. Yau Yi Kwongのご講演でした。Dr. Yauは香港でご開業されており、インビザラインサミットでもご講演されているAlign Technologyの公認スピーカーの先生です。世界中で多くのご講演経験のある先生ですが、アライナー矯正治療をご自身の臨床に取り入れ始め、そのご経験から、「Aligner -Restorative Interdisciplinary Treatment with InvisalignSystem」 という内容でご講演いただきました。アライナー矯正治療において、いつインプラントを埋入するのか、またどこに埋入するのかなどアライナー矯正治療とインプラント埋入の治療計画の立案方法について大変参考になった先生方も多いと思います。

Dr. Naranadr Chevangkul( タイ)は、バンコクでご開業されている4,000症例以上のインビザライン経験をお持ちの先生です。「The Efficacy of Digital Planning forComplex Aligner Orthodontics」 とのタイトルで、抜歯症例、大臼歯の遠心移動、従来法の顎矯正手術、サージェリーファーストとインビザライン、サージェリーファーストとインビザラインによる睡眠時無呼吸症候群の治療の5 症例について供覧いただき、DigitalPlanning の有効性についてご講演いただきました。Blue Diamond Provider であるDr. Naranadrは、その豊富な経験から、今回も貴重なご講演をしていただきました。

Dr. Ken Sirikrai(タイ)は、「Facial First’ Concept inAligner Orthodontic Treatment for Adult Patients」というタイトルで、顔貌との調和に焦点を当てた非抜歯によるさまざまなアライナー矯正治療のケースについて供覧いただきました。抜歯を行う場合の明確な基準など、実際の治療例に基づく大変参考になる内容でした。

Dr. Alessandro Mario Greco(イタリア)はローマでご開業されている先生で、Align Technologyの公認スピーカーです。今回は、「Anchorage Modulation withMOPs & TADs for optimized Aligner DigitalOrthodontics」 と題してマイクロオステオパーフォレーションおよびTADsの有効性とアライナー矯正治療との併用についてご講演いただきました。固定源の考え方やMOPsとTADsをどの部位に使用するのか、いつ使用するのかなど、歯の動きを考慮しながら固定源や骨の活性化部位を変更させていくご講演からは大変興味深い知見を得ることができました。

アメリカ矯正歯科学会にて16年連続、また世界中でご講演されている唯一の日本人である菅原準二先生による「 Surgery First approach meets Advanced AlignerOrthodontics」 では歯列全体の3次元移動を可能にする骨格アンカーシステム(SAS)とアライナーを用いたサージェリーファーストの最新のプロトコルについてご講演いただきました。SASのほかに、治療中にQOLを上げ、マルチブラケットシステム(MBS)の治療期間をできるだけ短くし、アライナー矯正を取り入れるという内容は、患者様主体に治療を考えられる菅原先生ならではのご講演でした。これでさらにアライナー矯正治療の可能性が広がったことが確認できました。

Dr. Chen ChengWei(台湾)は、「Does digitaltechnology improve our practice ?」 というテーマでご講演いただきました。ご自身の臨床経験から口腔内スキャナーとアライナー矯正治療、Digital Smile Design(DSD)を取り入れたDigital Dentistryのプロトコールについて文献を交えながらご講演いただき、大変参考になった先生方が多いと思います。

1日目の最後には、コネチカット大学矯正科教授のProf. Ravi Nanda をモデレーターにパネルディスカッションが行われました。なぜアライナーは2 週間交換から1週間交換に変更されたのか? MandibularAdvancement(MA)のエビデンスはあるのか? 顎関節症の患者様もアライナーで矯正治療するのか? なぜインビザラインは治療最後までのアライナーが全部届くのか? 段階的に進むべきではないのか? など、臨床に則した質問とインビザラインシステムに関する質問をKeynote Speakerに投げかけ、ざっくばらんに議論し合いました。世界中のアライナー矯正治療のエキスパートによるパネルディスカッションは日本国内では初見の内容も多く、大いに盛り上がりました。

大会2日目はDSDのKey Opinion Leaderである大会長の尾島賢治先生による「DSD Invisalign」から始まりました。アライナー矯正治療とDigital Smile Design(DSD)のコラボレーションによる症例をご供覧していただきました。尾島賢治先生のご講演された症例は、最先端技術のデジタル技術を応用した症例で、多くの御参加された先生に新しい可能性をお伝えできたと思います。スキャンや3Dプリンターの導入で、オールデジタルの治療の流れが確立されたものの、それらを実際の臨床に組み込むためにはそれ相応の基本的な診断、分析力、そして治療立案力が必要になります。デジタルが導入されたことは、決して全てが「簡易化」「簡単化」した訳ではなく、有効に使えばより「精度の高い」治療ができるということを知っている必要があると思います。

Dr. Sam Daher(アメリカ)は、5,000症例以上のインビザライン経験を持ち、インビザラインの開発に関わった先生です。演題は「Digital Revolution in AlignerOrthodontics:Biomechanical Principles RemainUnchanged」。アライナー矯正治療における歯の平行移動、歯体移動におけるバイオメカニクス、回転中心と抵抗中心の考え方、力の疲労とモーメントの考え方などアライナー矯正を行う歯科医師として持つべき知見についてわかりやすい動画を使って教えていただきました。

Prof. Ravi Nanda(アメリカ)は、「Aligners andAcceleration Methods and Devices:State of the Art」という題でご講演していただきました。最新の論文をもとに、エビデンスの有無、そしてこれからの課題などを含めてご講演され、アライナー矯正治療と加速矯正治療について最新の知見をご供覧いただきました。

Dr. David Couchat(フランス)は、小児患者へのインビザラインアプローチを世界でいち早く取り入れられ、3,000症例以上のインビザライン治療のご経験を持ち、世界で初めてインビザラインファーストに取り組まれた先生です。今回は、「Treating Kids from 7 years old with Invisalign First in a Digital Work flow」という題でインビザラインファーストについてご講演していただきました。インビザラインファーストを用いたスペースゲインの方法やⅠ期治療後のリテンションの方法、顎間ゴムの活用方法など明日からの臨床に活用できる内容でした。

Dr. Waddah Sabouni(フランス)は、4,000症例以上のインビザライン治療のご経験を持ち、フランスでご開業されている先生です。「Surgical and non Surgical Approach in treating deepbite cases by using clear aligner orthodontic treatment」と題し、過蓋咬合におけるバーティカルコントロール、ショートフェイスにおける臼歯挺出の重要性、バイトランプを使用した前歯部の圧下方法など診査診断の重要性とアライナーのテクニックについてご講演いただきました。

Dr. Kamy Malekian(スペイン)は、マドリード大学矯正学科の教授であり、2,000症例以上のインビザライン経験をお持ちの先生です。今回は、「Periodontal Patients:Minimal Invasive Approach with Aligner 3D Digital Planning」 と題してご講演いただきました。歯周病患者に対するアライナー矯正治療について大変わかりやすく、テクニックとポイントを教えていただきました。Dr. Kamy は、アラインテクノロジー社のInvisalign Award にも選ばれており、スペインでいち早くInvisalign矯正治療を取り入れられているご経験から、大変貴重な内容でした。

国内からは、昨年から引き続き村上久夫先生、渡辺仁資先生、檀 知里先生にアライナー矯正治療に関してご講演いただきました。

1926年、Remensnyder がアライナー矯正治療の先駆的装置を発表してから85年、その時々にアライナー矯正治療に関わってきたすべての人のおかげで今、この研究会は成り立っています。また、ご講演いただく先生はもちろん、ご参加いただく先生方自身も、アライナー矯正治療の時代を支え、進化させていく一人の存在であることを認識された先生方も多いのではないでしょうか。2日間の講演を通して、さまざまな国の先生の方たちと知識と知恵を共有し、ディスカッションすることができましたことを大変嬉しく思います。

最後に、尾島賢治先生より世界中のアライナー矯正歯科学会、DGAO(ドイツアライナー矯正歯科学会)、EAS(ヨーロッパアライナー矯正歯科学会)、TAAO(台湾アライナー矯正歯科学会)、SEDA(スペインアライナー矯正歯科研究学会)、SFOPA(フランスアライナー矯正歯科学会)、SGAO(スイスアライナー矯正歯科学会)についての紹介がありました。

また、日本アライナー矯正歯科研究会の「症例検討会」が2018年4月21日(日)に開催されることが発表されました。研究会を立ち上げて5年、アライナー矯正治療の認知度は国内でも広まっていると感じる一方、治療が進むにつれて課題やリカバリーが必要な症例についてご質問いただく機会が増えていることも事実です。

アライナー矯正治療の成果を上げるために、多くの先生方にご参加いただけることを心よりお祈り申し上げます。

日本アライナー矯正歯科研究会は来年第6回を迎えます。日程は、2019年11月28日(木)、29日(金)の2日間で開催予定です。日本アライナー矯正歯科研究会は、それぞれの治療を批判する場ではなく、お互いを尊重し、高め合い、情報を共有する場として、「innovation」をテーマに今後も活動を行ってまいります。

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アライナー矯正歯科医のための研究会「日本アライナー矯正歯科研究会」は、多くの患者様のニーズに合わせた治療を提供するため、アライナーの種類の垣根を超えたアライナー矯正治療について知識を共有し、深めるための研究会です。
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